三宅君から、アメリカで行われているライフジャケットの安全性基準のテストについてのレポートが届きました。
これを読んだ後に、一度お使いのライフジャケットがアメリカのメーカーの物であれば、背中内側にULマークが付いているか、チェックしてみては如何ですか?
今週、ノースカロライナのRaleigh空港に程近い”UL”のラボに行ってきました。
開発中のライジャケの承認取得に向けたテストのためです。

Underwriters Laboratories Inc.
今回は良い機会なので、アメリカのPFDの承認がどのように為されているかについてちょっと触れてみます。
”UL”とは、Underwriters Laboratories Inc.の略です。(ジーニアス英和辞典によると、”保険業者研究所”となっています。)
アメリカのメーカーのPFDの内側についているご覧のような”ULマーク”でご存知の方も居られると思います。同様に日本に流通しているものでも、パソコンや電化製品などには、同じようなマークが付いていることがあります。
アメリカのライフジャケットやP.F.D.(パーソナル・フローテーション・デバイス、以下PFD)は、USコーストガードが承認したものと一般に解釈されていますが、ライジャケの場合、USコーストガードが指定した、認証機関としての存在がULということです。
勿論、電化製品などそのほかの分野も含めたの安全にかかわる全ての製品群が、ULの認証の守備範囲となっています。
(興味のある方はWebサイト http://www.ul.com/ をチェックしてみてください。)
話をPFDに戻しましょう。
PFDを含めたマリン関係のテスト・認証はノースカロライナにあるラボが担当しています。
ライジャケ・PFD関係は10名ほどの博士号をもつエンジニアを含めたスタッフが担当しています。
中の様子は、ULの企業秘密なので残念ながらラボの外観しかご紹介できませんが、1m・4.5mの飛び込み台が付いた室内プール、浮力試験のための水槽、各種強度試験機、ウェザーテスターなど、ライジャケ・PFDなどの性能検査を行う装置の一切が整えられています。
ここに持ち込まれる製品(試作品)を試験にかけ、ULの定める基準を満たしているかについて、全ての点で確認が行われます。
バックルやベルト、生地などの使用部材はあらかじめULが材料試験をして、承認・登録されたもののみに限られます。
そのうえで、各部分の寸法・縫製の方法・浮力をメーカーが用意した仕様書と現物をULの基準書に基づいて、試験・確認・問題点の是正の指示が行われます。
その中には、浮力試験、強度試験、プールテストが含まれます。
この中でも極めて重要かつ興味深いのは、ボランティアによるプールテスト(装着・飛び込み・浮遊姿勢の確認)です。
ライフジャケットやPFDのカテゴリー(満たさなければならない安全レベルの違い)によって、試験内容は異なりますが、TYPEIIといわれる物(一般的に言うライジャケがこのクラスに該当します)を例に取ると、以下のような試験内容となっています。
■ 装着試験:装着に要する時間、誰でもきちんと装着できるか。
■ 飛び込み試験:1mの飛び込み台から飛び込んで、ジャケットのズレが無いか。
■ ターン:うつ伏せに浮遊した状態から基準時間内に仰向け状態に反転するか。
■ 浮遊姿勢:口元から/耳の穴から水面まで高さ、水面に対しての顔/体の角度。
■ 調節:浮遊状態でのベルトの調節が出来るかどうか。
プールテストのボランティアには、子供なら、幼児から児童、Jrサイズ、大人ならXSサイズからXXLサイズ以上の方を登録・参加要請しています。
特に難しいのは、幼児(2?3歳程度)と、XXLサイズ以上で試験に耐えられる人を確保することのようです。
しかし、サイズとして製品化する場合はこれらのテストは絶対必要なものですから、ULに於いても頭痛の種となっています。
(日本では幼児の確保がもっと難しくて、ダミー人形の採用を具体的に研究しているようですが、アメリカでは、ボランティアが発達しているので何とか確保できているようです。)
これらの試験のために各メーカーは莫大な費用をULに支払い、ULの認証を取るまで試験を繰り返します。
自分が訪れたときにはラボに当社の製品以外にたくさんの他社のPFDが試験用に持ち込まれていました。
また、ULも性能に裏打ちされた信頼できる製品を世に送り出すために、厳しい態度試験に臨んでいます。
アメリカ(PFD・UL承認)やカナダ(PFD・ULC承認)、ヨーロッパ(BuoyancyAid・CE承認)ではパドリング時の着用は義務とされています。
中でもアメリカのUL承認のPFDはパドリング用としては、他国の基準に比べ、とりわけ厳しい基準が設けられています。日本には動力船以外ではライジャケの着用の決まりはありませんので、パドリング用のPFDの基準はありませんが、日本でPFD選びをされる場合も、購入するPFD(ライジャケ)が安全面において、試験・認定されたものであるかどうかを考慮に入れることを強く推奨します。


MARINE ULのロゴ(写真左)とULのロゴ(写真右)
PHOTO&REPORT by ツーヨン THANK YOU!